近年、全国で空き家の増加が深刻な社会問題となっています。
総務省の調査によると、2018年時点で日本全国の空き家数は約849万戸に達し、住宅全体の13.6%を占めています(総務省統計局|住宅・土地統計調査)。
空き家を放置すると、防犯・防災面でのリスクや、近隣トラブル、資産価値の下落といった問題が発生する可能性があります。
こうした背景から、「空き家管理サービス」の利用が注目されています。
この記事では、空き家管理の基本情報から、サービス選びのポイント、主要6社の比較、実際の口コミ、注意点まで詳しく解説します。
自分のニーズに合った空き家管理サービスを見つけるための参考にしてください。
空き家管理サービス比較をする前に知っておきたい基本情報

空き家管理サービスを比較する前に、まずはその基本的な内容や必要性を理解しておきましょう。
これを知ることで、適切なサービス選びに繋がります。
空き家管理とはどんなサービス?
空き家管理とは、所有者が不在の住宅を定期的に訪問・点検し、状態を維持するサービスのことです。
専門業者が巡回して建物の外観や内部のチェック、清掃、郵便物の整理などを行います。
サービス内容は業者によって異なりますが、共通して「建物の劣化防止」や「近隣住民への配慮」を目的としています。
一部の業者では、草刈りや害獣対策、空気の入れ替え、水道・電気の確認など、より細かい対応も含まれています。
空き家をそのままにしておくことのリスクを減らすためにも、管理サービスは有効な手段です。
空き家管理が必要とされる理由
空き家を放置すると、さまざまな問題が発生します。
まず、防犯面でのリスクが高まります。
無人の建物は空き巣や不法侵入の標的になりやすく、地域の治安悪化にもつながります。
また、劣化した建物が倒壊の危険をはらむ場合、近隣住民の安全に関わるトラブルも起こりかねません。
こうした空き家は「特定空き家」に指定され、自治体からの指導や固定資産税の増額がなされることもあります。
こうした背景から、定期的な管理が求められるようになり、専門業者による空き家管理サービスのニーズが高まっているのです。
参考リンク:国土交通省|空き家対策特設ページ
空き家管理サービスの基本的な内容
多くの空き家管理サービスは、以下のような基本業務を提供しています。
・建物外部・内部の目視点検
・通気・換気作業
・簡易清掃
・郵便物の回収
・報告書の提出
さらに、業者によっては有料オプションとして、除草・剪定、害虫駆除、不用品の処分、簡易リフォームなどの対応も行っています。
サービスの内容を事前にしっかり比較することが、満足度の高い空き家管理につながります。
行政や自治体によるサポート制度もある
自治体によっては、空き家管理への補助金や助成制度を設けているところもあります。
例えば、東京都では「空き家対策支援事業」として、一部の管理費用を助成しています。
また、管理業者の紹介や、相談窓口を設けている市町村も増えており、公的支援を活用することで、費用負担を軽減できる可能性があります。
お住まいの地域に制度があるかどうかは、自治体の公式サイトで確認してみましょう。
参考リンク:中野区|空き家管理の支援制度
空き家管理サービスを比較するポイントとは?

複数の空き家管理業者がある中で、自分に合ったサービスを見つけるためには、いくつかの比較ポイントがあります。
巡回頻度や対応エリアを比較する
まず注目したいのは、業者の巡回頻度です。
月1回のところもあれば、2週に1回や週1回など、柔軟な対応が可能な業者も存在します。
また、サービス提供エリアが自宅や空き家の所在地に対応しているかも大切なポイントです。
全国展開している業者と、地域密着型の業者とで対応範囲が異なるので、事前確認は必須です。
都市部以外の空き家に対応しているかどうかも確認しましょう。
地方自治体や民間の取り組みをまとめたサイト:全国空き家・空き地バンク
料金体系のわかりやすさで選ぶ
空き家管理サービスの料金体系は、月額制・パック料金・オプション料金といった形式でさまざまです。
契約時に「何が基本料金に含まれているか」「追加料金が発生するタイミング」などを明確に確認しましょう。
わかりやすくて透明な料金表示を行っている業者ほど、後々のトラブルが少ない傾向にあります。
サービスの質だけでなく、料金の明確さも比較の重要なポイントです。
写真付き報告書の有無も重要
管理後の報告がどのような形で行われるかも確認しましょう。
写真付きの報告書を郵送またはメールで送ってくれる業者は信頼性が高いです。
特に、遠方に住んでいる場合、写真で管理の様子を視覚的に確認できると安心感が違います。
スマホアプリを使ってリアルタイムで確認できるサービスもあり、利便性が高いものも増えています。
例えば、アキカンのような最新型のIT連携サービスが注目されています。
緊急時の対応体制を確認する
台風や地震などの災害時に迅速な対応ができるかどうかも大切なポイントです。
24時間体制のサポートがある業者や、警備会社と提携しているところもあります。
緊急時の連絡手段や、訪問後の報告のスピードなども、信頼できるサービスかどうかを見極める指標になります。
緊急対応の有無は、料金の安さよりも重視すべきポイントかもしれません。
セコムグループ運営の「家守り隊」などは、こうした点で安心感が高いです。
オプションサービスの充実度で比較する
基本サービスに加えて、草刈り・害獣駆除・簡易修繕など、オプション対応が豊富な業者は利便性が高いです。
空き家の状態によっては、最低限の管理だけでなく、定期的な手入れが必要なケースも多くあります。
業者によっては、リフォームや売却の相談に乗ってくれるところもあり、空き家の将来的な活用を見据えて業者を選ぶのも有効です。
空き家管理サービスの料金・サービス内容で選ぶおすすめ6社を比較

ここでは、空き家管理を提供する代表的な6社をピックアップし、それぞれの料金・サービス内容・特徴を詳しく紹介します。
全国対応から地域密着型まで幅広く比較して、自分に合った業者を見つけましょう。
東京ガスのハウスクリーニング 空き家管理

東京ガスのハウスクリーニングは、1回50分9,900円(税込)から任せられる空き家管理サービスを提供しています。空き家の外観・内観の確認だけでなく、換気・通水・簡易清掃・郵便物回収なども行い、写真報告もしてもらえます。
また、プランやオプションを追加することで、草むしりや郵便物転送などにも対応。相続した実家が空き家、親の施設入所で空き家になった、転勤などで長期不在の家を管理してほしい、といった方におすすめ!
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料金 | ベーシック…9,900円(税込)/回50分 スタンダード…11,000円(税込)/回60分 プレミアム…14,300円(税込)/回90分 |
管理内容 | 換気/通水/外観、内観確認/草木の確認/簡易清掃/郵便物回収/写真報告/草むしり(スタンダード、プレミアムのみ) |
対応エリア | 東京都/神奈川県/千葉県/埼玉県 |
日本空き家サポート
「日本空き家サポート」は、月額5,500円(税込)から利用できるリーズナブルな管理プランが特徴です。全国対応しており、定期巡回・郵便物の整理・簡易清掃など基本的な管理項目をしっかり網羅しています。
報告書は写真付きでメール送付されるため、遠方に住んでいても安心して任せられる点が評価されています。また、提携する不動産会社や司法書士との連携で、売却や相続の相談も可能です。
料金 | ライト…5,500円(税込)/1回30分 スタンダード…11,000円(税込)/1回60分 スタンダードプラス…14,300円(税込)/2回90分 |
管理内容 | 屋外作業:郵便受け/ゴミ拾い/建物目視/庭木確認/管理看板設置/防犯確認 屋内作業(スタンダード、スタンダードプラスのみ):全室換気/通水/簡易清掃/雨漏りカビ確認/防犯確認 |
対応エリア | 全国 |
詳細は公式サイト:日本空き家サポート
空き家管理舎パートナーズ
「空き家管理舎」は、地域密着型のサービスを提供しており、対応エリア内では柔軟な管理プランを提案してくれます。料金は月額5,000円(税込)~で、地元事情に詳しいスタッフが対応してくれる点が魅力です。
報告書は紙・メール両方に対応しており、丁寧な対応が評判です。高齢の親が住んでいた実家の管理を任せるケースにも適しており、相談体制がしっかりしています。
事前の現地確認・見積もり無料で、契約後も柔軟に巡回頻度などを調整可能です。
料金 | 外回りのみお試しコース…5,500円(税込) 基本パック…11,000円(税込) |
管理内容 | 風通換気/通水/庭木確認/雨漏り/外部確認/権利関係確認/近隣訪問/有事後巡回(オプションは追加可能) |
対応エリア | 山形/長野/岐阜/石川/山梨/奈良/兵庫/香川 |
公式サイト:空き家管理舎パートナーズ
SECOM(セコム)
「空き家の防犯・監視サービス」は警備会社セコムのグループ会社が運営するサービスで、防犯面での安心感が非常に高いと評判です。料金は月額5,060円(税込)と他と比べても標準で、充実した内容を提供しています。
夜間の巡回や緊急時の駆けつけ対応など、他社にはない防犯対応が可能。また、空き家にセンサーを設置し、異常を検知すると通知が届く仕組みもあります。
遠方にある空き家を防犯面からしっかり守りたい方におすすめです。
料金 | 買い取り料金…5,060円(税込) レンタル料金…7,920円(税込) |
管理内容 | 通気/通水/郵便物管理などがオプションで追加可能 |
対応エリア | 全国 |
公式サイト:空き家の防犯・監視サービス
空き家ほんぽ
「空き家対策本舗」は、法律の専門家と連携し、相続・名義変更・売却の支援も含めた総合サービスを提供しています。月額管理費なんと500円(税別)と破格。
また、相談業務の充実度で高い評価を得ています。
特に、空き家に関する法的なトラブルを抱える人や、相続問題に対応してもらいたい人には非常に心強い存在です。もちろん定期巡回・報告も丁寧に行われます。
料金 | 500円(税別) |
管理内容 | 目視チェック/管理看板設置/クレーム受付(その他はオプションで追加可能) |
対応エリア | 宮城県 |
公式サイト:空き家ほんぽ
カリアゲJAPAN
「カリアゲJAPAN」は、単なる管理だけでなく、空き家の「利活用」まで見据えたサービスが特徴です。空き家を「借り上げ(カリアゲ)」てリフォーム・再利用し、地域資源として活かす提案も可能です。
草刈り・清掃など基本管理はもちろん、空き家の利活用に関する提案書も作成してくれる場合があります。
空き家を売る・貸す・活用する選択肢を模索している人には最適なサービスといえるでしょう。
料金 | 要お見積り |
管理内容 | |
対応エリア | 全国 |
公式サイト:カリアゲJAPAN
空き家管理サービス比較で見えてくる選び方のコツ

6社を比較してみると、管理サービスはどれも一律ではなく、目的や状況によって選び方が変わってくることが分かります。
管理の目的に応じてサービスを選ぶのが大切
「空き家を将来住む予定があるのか」「売却や貸し出しを考えているのか」「とにかく放置したくないだけか」など、管理の目的を明確にすることが最も大切です。
目的に合った業者を選ぶことで、費用対効果が高くなり、満足度の高いサービスになります。
例えば将来的な活用を見据えているなら「カリアゲJAPAN」、とにかく防犯重視なら「家守り隊」が適しています。
単なる安さではなく、目的とのマッチ度を重視しましょう。
地元業者か全国対応かで利便性が変わる
地元密着型業者は柔軟な対応や顔の見える関係が築きやすいのがメリットです。
一方、全国対応の大手業者は、システム化された報告や豊富な実績が強みです。
都市部と地方では対応範囲も違うため、自分の空き家がある場所に合った業者選びが必要です。
「信頼できる地元の業者」または「体制が整った大手企業」、どちらが安心できるかは人それぞれです。
サービス内容のカスタマイズ性を確認することが重要
一律のサービスよりも、「草刈りだけ」「換気だけ」など柔軟な対応が可能な業者の方が、結果としてコストを抑えられることがあります。
オプション対応の充実度や、契約後のプラン変更の可否なども契約前に確認しましょう。
空き家の状態や所有者のライフスタイルに合わせたサービス選びが、長期的にはコスト削減にもつながります。
このような観点を踏まえて、次は実際に利用した方々の口コミを見てみましょう。
空き家管理サービスを利用した方の口コミ・評判を比較

実際に空き家管理サービスを利用した方々の口コミや体験談からは、サービスの質や対応の良し悪しが見えてきます。
ここでは、前述したおすすめ6社について、利用者の声をもとに特徴を比較してみましょう。
日本空き家サポートは低価格で信頼できると評判
日本空き家サポートの口コミでは、「料金が安くても、しっかりと報告書が届くので信頼できる」「全国対応で実家が地方でも安心」といった声が多く見られます。
月額3,300円という手頃な価格設定にもかかわらず、サービス内容が充実している点が高評価です。
また、空き家の売却や相続に関する相談にも対応してくれたという声もあり、トータルでサポートしてくれる安心感があります。
実際の口コミ参考:日本空き家サポート|お客様の声
空き家管理舎は対応の丁寧さが高評価
空き家管理舎を利用した方からは、「地域密着だからこその親身な対応がありがたい」「急な依頼にも迅速に対応してもらえた」といった意見が目立ちます。
大手にはない小回りの利くサービスで、一人ひとりの事情に寄り添ってくれる安心感が支持されている理由です。
報告内容も細かく、写真やコメントがしっかりしているとの口コミも多数見られました。
カリアゲJAPANは活用提案が役立ったという声多数
カリアゲJAPANは、「ただの管理ではなく、空き家の活用方法まで提案してくれるのが良い」「地域貢献にもつながるので満足している」といった評価が多く寄せられています。
特に、空き家を使って地域イベントや店舗に転用したいと考えている人からの支持が厚いです。
単なる『維持』ではなく『活用』という視点を持っているのが、他社との大きな違いです。
家守り隊は警備会社運営で安心感があるとの声
家守り隊については、「セコムグループだから防犯面で安心」「緊急対応が迅速で信頼できた」との口コミが多く見られます。
防犯センサーの導入や、夜間対応なども含まれており、「実家が空き家で心配だったが、セコムという名前で家族も納得した」といった声も。
防犯重視の方にとっては非常に魅力的な選択肢となっています。
空き家管理サービスを契約前に確認すべき注意点

空き家管理サービスを選んだあとは、契約を結ぶ前に以下のポイントを確認しておくと、トラブルを避けやすくなります。
契約内容の詳細をよく確認する
まずは、契約書に記載されている「管理内容」「頻度」「料金」「支払い方法」などを細かくチェックしましょう。
サービスの内容が曖昧だったり、口頭説明のみで済まされている場合は要注意です。
すべての内容を文書で残すことが、後のトラブル防止につながります。
また、報告書の提出形式やタイミングなども具体的に記載されているか確認しておくことが重要です。
解約条件や途中解約のペナルティに注意する
契約期間の縛りがあるサービスもあります。例えば、6か月や1年単位での契約で、途中解約には違約金が発生するケースもあるため、事前に把握しておく必要があります。
「試しに1か月だけ使ってみたい」という方は、短期契約可能な業者を選びましょう。
解約の方法やタイミングによっては、返金に応じないケースもあるため注意が必要です。
巡回頻度や訪問日の柔軟性を事前に確認する
毎月何日に巡回するのか、訪問日を変更できるかなどもチェックポイントです。
柔軟にスケジュール調整できる業者であれば、台風の直後や雪解け後など、特別なタイミングでの確認も頼みやすくなります。
「月1回」と書かれていても、実際にはいつ巡回するのかをしっかり聞いておきましょう。
緊急時の追加対応に別料金がかかる場合もありますので、その点も含めて要確認です。
オプションの有無と追加料金の内訳を把握する
除草や修繕、害虫駆除などのオプションサービスがあるか、またその費用が明確に提示されているかも確認しましょう。
「見積もり後に金額が変わった」「説明と違った」という口コミもあるため、追加料金がかかる可能性のあるサービスはすべて事前に質問することが大切です。
料金表やオプション一覧がウェブサイトに掲載されている業者は、信頼性が高いといえます。
空き家管理サービスを比較するうえでよくある疑問を解決!

最後に、空き家管理サービスに関してよくある質問とその回答を紹介します。
契約前に感じやすい疑問を解消しておきましょう。
空き家管理サービスはどこまで対応してくれる?
基本的には建物の外観・内部点検、郵便回収、簡易清掃、通気・換気などが中心ですが、業者によっては草刈りや設備点検、不法投棄の対応まで行ってくれる場合もあります。
また、防犯カメラの設置や遠隔監視を行う会社も存在します。
対応範囲は業者によって異なるため、希望する内容がある場合は事前確認が必要です。
空き家が遠方にある場合でも対応してもらえる?
全国対応の業者であれば、地方の空き家でも対応可能です。
ただし、地域密着型の業者はエリア外に対応できないこともあるので注意が必要です。
遠方に住んでいて定期的に見に行けない人ほど、写真付き報告やアプリ連携がある業者を選ぶと安心です。
不動産会社の管理とはどう違う?
不動産会社が行う「賃貸管理」とは異なり、空き家管理サービスは人が住んでいない住宅を対象としたものです。
不動産会社は「入居者募集・契約管理」が中心であり、無人の物件を定期巡回したり、清掃・草刈りをしたりする業務は行っていないことが多いです。
空き家特有のトラブルを防ぐためには、専門業者による管理が適していると言えます。
空き家管理を依頼するタイミングはいつがベスト?
空き家になった直後がベストです。
放置期間が長くなると、雑草が伸びたり、郵便物がたまって不在が明らかになったりと、空き巣や火災のリスクが高まります。
また、劣化が進んでからでは修繕に費用がかかるため、なるべく早い段階での管理開始がおすすめです。
自治体からの指導が入る前に、きちんとした管理を始めておきましょう。
まとめ|空き家管理サービスを比較して自分に合った業者を見つけよう

空き家管理は、放置するリスクを減らし、資産を守るための大切なサービスです。
管理の目的や空き家の場所、自分のライフスタイルに合わせて適切な業者を選ぶことが、満足度の高い管理につながります。
この記事では、空き家管理サービスの基本情報から、比較ポイント、おすすめ6社、口コミ、注意点、よくある疑問までを徹底的に解説しました。
まずは無料見積もりを依頼し、複数の業者を比較してみることをおすすめします。
そして、空き家を安全に、そして賢く管理していきましょう。
最後に、空き家管理に関する行政の支援情報も活用してください:国土交通省|空き家管理に関する支援制度