日本では、空き家の増加が社会問題になっています。
総務省の調査によると、全国の空き家数は2023年時点で約900万戸に達しています(総務省住宅・土地統計調査)。
そんな空き家を安全に保つために注目されているのが「空き家管理サービス」です。
この記事では、そのサービスの費用相場について、月額・年間・地域別にくわしく解説します。
費用の目安や契約の種類、どんな内容が含まれているのかなど、初めての方でもわかるように丁寧に説明しています。
空き家管理サービスの費用はどれくらいかかる?基本的な相場を解説
この章では、空き家管理サービスの一般的な費用相場について、月額・年間契約の視点で紹介します。
月額3,000円~10,000円が一般的な相場
多くの空き家管理サービスは、月に1回の訪問を基本とし、その料金は月額3,000円〜10,000円程度です。
この価格帯には、通風や換気、簡単な清掃、目視点検などが含まれています。
ただし、料金は物件の規模やサービス内容によって上下します。
たとえば、東京の業者の場合、5,000円台から始まるところも多く、比較的リーズナブルに利用できます。
年間契約では3万円~12万円程度が多
年間契約を選ぶと、一括で3万円〜12万円ほどが相場です。
年間契約には割引が適用される場合があり、月額換算で見ればお得になることもあります。
長期で利用する予定があるなら、年間契約を選ぶ方が結果的にコストパフォーマンスは良くなります。
ただし、契約内容は業者ごとに違うため、必ず確認しましょう。
戸建てとマンションで料金に差が出る
戸建て住宅は、マンションよりも管理が難しいため、料金が高めになる傾向があります。
敷地が広く、外回り(庭・玄関・屋根など)の点検や草取りなどが必要になるためです。
一方、マンションでは、共用部分の管理は管理組合が行っているため、室内だけを管理すればよく、比較的安価で済むケースが多いです。
したがって、物件のタイプによって費用に違いが出る点に注意が必要です。
一都三県と地方都市では相場が異なる
東京都や神奈川・埼玉・千葉などの都市部では、人件費や交通費が高いため、費用が高くなりがちです。
一方で、地方都市では価格競争があることから、相場が少し低くなる傾向があります。
たとえば、地方の業者では月額2,500円〜対応しているところもあり、費用面で有利です。
地域ごとの相場も、空き家管理サービスを選ぶ上で重要なポイントです。
空き家管理サービスの費用は月額と年間でどう変わる?料金体系を比較
ここでは、月額契約・年間契約・スポット契約の違いを紹介し、それぞれの特徴を比較します。
月額契約は手軽に始められる
月額契約は、少ない費用で手軽に始められるのが魅力です。
たとえば、月1回の点検サービスであれば、3,000円前後から始めることができます。
また、途中解約がしやすいという点もメリットです。
頻繁に空き家を利用する予定がある人や、短期間だけ管理したい人に向いています。
年間契約は割引が適用されるケースが多い
年間契約にすると、月額契約よりも1回あたりの費用が割安になるケースがあります。
たとえば、月額5,000円のプランが年間契約だとトータル50,000円で済むなど、10,000円近くお得になることも。
ただし、年払いが必要になるため、初期費用としては大きくなります。
長期的に空き家を放置する予定がある場合にはおすすめです。
スポット利用は1回あたり5,000円~15,000円と割高になりやすい
スポット契約とは、必要なときだけ1回ずつ依頼する方法です。
料金は1回あたり5,000円〜15,000円と、月額・年間契約と比べて割高です。
たとえば、「急に行けなくなったから1回だけ点検してほしい」などの場合に便利です。
頻繁に利用する場合には、月額や年間契約の方がコストを抑えられます。
空き家管理サービスの費用に含まれる内容とは?チェックすべきポイント
この章では、実際にどんなサービスが費用に含まれているのかをくわしく解説します。
通風・換気や簡易清掃が基本サービスに含まれている
多くの業者が基本料金内で行っているのが換気と清掃です。
窓を開けて空気の入れ替えをしたり、床や玄関などの簡単な掃除が含まれます。
これにより、湿気やカビの発生を防ぐことができます。
建物の劣化を防ぐためにも大切な作業です。
郵便物の転送や草木の確認も料金に含まれる場合がある
管理サービスには、郵便物の整理や草木の状況チェックが含まれている場合があります。
たとえば、郵便ポストがあふれていると空き家だと知られてしまう恐れがあります。
そのため、定期的に郵便物を回収・転送してくれるサービスは安心材料になります。
草木の伸びすぎもご近所トラブルの原因になるので、業者によるチェックは重要です。
写真付き報告書の提供が一般的
多くのサービスでは、作業後に写真付きの報告書がメールや紙で送られてきます。
これにより、現地に行かなくても空き家の様子を確認できます。
たとえば「雨どいにゴミが溜まっていた」「玄関前に落ち葉があった」などの情報が届きます。
視覚的に状況がわかるので、安心感があります。
水漏れ・破損など異常時の緊急対応が含まれるか確認が必要
水漏れや窓ガラスの破損など、緊急時の対応が含まれているかは、契約前にしっかり確認しましょう。
含まれていない場合、別途費用がかかることがあります。
また、緊急対応の連絡体制が整っている業者であれば、いざというときにも安心です。
この点は各社で対応が分かれるので要注意です。
空き家管理サービスの費用が高くなるケースとその理由
空き家管理サービスの費用が高くなる主な原因を理解することで、不要な出費を防ぐことができます。
広い敷地や複数階の建物は作業コストが上がるから
物件の広さは、サービス費用に直接影響します。
庭付きの広い戸建て住宅や、2階建て・3階建ての建物では、点検や清掃の作業範囲が広がるため、その分だけ費用も上がります。
また、屋根やベランダ、外構の確認も必要になり、1回の訪問にかかる時間が長くなります。
このため、広さに応じて料金が設定されている業者が多いです。
管理頻度が高いプランは料金が高くなるから
訪問回数が多くなると、それに比例して費用も高くなります。
月に1回の訪問で5,000円のサービスでも、週1回の訪問にすれば2万円近くになる場合もあります。
頻繁な点検を希望する場合は、そのぶんコストがかかることを理解しておきましょう。
逆に、管理頻度を月1回程度に抑えることで費用を抑えることが可能です。
遠隔地や山間部では交通費が追加されることがあるから
業者の拠点から物件までの距離が遠いと、別途交通費が請求されることがあります。
特に、山間部や離島など、アクセスが難しい場所ではこの傾向が強くなります。
たとえば、「片道1時間以上かかる場合は追加料金○円」と明記している業者もあります。
依頼する前に、現地がどのように扱われるのか確認しておきましょう。
オプションサービス(除草・害虫駆除など)を追加すると費用が増えるから
基本料金とは別に、オプションサービスを追加すると費用がかさみます。
たとえば、除草作業や害虫駆除、簡易修繕、水道・電気の確認などが有料で提供されています。
必要に応じて選ぶことで安心感は増しますが、費用面では要注意です。
必要なものと不要なものを見極めることが大切です。
安い空き家管理サービスの費用でも安心して任せられる選び方
ここでは、安価でも信頼できる業者を選ぶためのポイントを紹介します。
実績が豊富な業者を選ぶとトラブルが少ない
過去の実績が多い業者は、対応力が高くトラブルも少ない傾向にあります。
空き家管理の専門サイトや比較サイトで「実績○件以上」と明記している業者を選ぶと安心です。
実績は、業者の信頼性を測る重要な指標となります。
業者によっては、事例紹介を動画で公開している場合もあり、YouTubeなどで確認できます(例:空き家管理サービスの流れ【YouTube】)。
契約内容を明確に提示している業者は信頼できる
契約書に「何が含まれていて、何が含まれていないか」が明確に書かれている業者を選びましょう。
料金体系やサービス内容がわかりやすいことは、信頼できる業者の特徴です。
あいまいな説明や、追加料金が多発するような業者は避けるべきです。
契約前に「よくある質問」などのページも確認しましょう。
口コミや利用者の声を参考にできる
実際にその業者を利用した人の口コミは、非常に参考になります。
たとえばGoogleマップやSNS、空き家管理専門の口コミサイトなどで調べるとよいでしょう。
星の数やコメントの内容から、業者の対応やサービスの質を判断できます。
悪い評価が目立つ業者は避けるのが賢明です。
地域密着型の業者はコスパが良いことが多い
地域密着型の小規模業者は、移動距離が短いため交通費がかかりにくく、その分料金が安くなる傾向があります。
また、地域事情に詳しいため、必要な管理内容も適切に判断してもらえる点が強みです。
地元の空き家バンクや自治体のホームページに紹介されている業者もおすすめです(例:群馬県空き家バンク)。
地域限定でサービス展開している業者を探してみましょう。
空き家管理サービスの費用を抑えるための節約術とポイント
必要以上に費用をかけず、空き家をしっかり管理する方法を紹介します。
必要最低限のサービスだけに絞ると費用を抑えられる
基本サービスだけで十分な場合は、無駄なオプションを省くことでコストを削減できます。
たとえば、「草取りは自分で行うので不要」と判断すれば、その分費用を節約できます。
必要なサービスと不要なサービスを整理してから契約することが重要です。
初回相談時に「何が必要か」聞いてくれる業者は良心的です。
複数年契約で割引される業者を選ぶとお得だ
一部の業者では、2年・3年契約で割引が適用される場合があります。
初期費用は高くなりますが、トータルでは大きく節約できます。
定期的に利用することが決まっているなら、長期契約のプランも検討しましょう。
契約期間中にプラン変更が可能かどうかも確認しておきましょう。
自治体の空き家対策支援制度を活用できることがある
一部自治体では、空き家管理費用の補助制度を用意しています。
たとえば、千葉県市原市では年間最大5万円の補助金制度があります(市原市 空き家管理支援補助金)。
他にも、多くの自治体で補助制度を導入しているので、各市区町村のホームページを確認しましょう。
制度を使えば、年間契約の費用が半額になることもあります。
自分でできる作業を分担する方法もある
現地に行けるタイミングがあるなら、簡単な作業だけ自分で行い、業者の作業範囲を減らすという方法もあります。
たとえば、年に数回は自分で草刈りや清掃をして、他の月は業者に任せるなどです。
このように分担することで、必要最小限の費用で空き家を管理できます。
特に近くに住んでいる場合や、親戚が訪問できる場合にはおすすめです。
地域別で見る空き家管理サービスの費用の違い
地域によって空き家管理サービスの相場には差があります。全国的な傾向を見ていきましょう。
東京都内は需要が高く相場も高め
都内は空き家管理の需要が高く、サービスも豊富ですが、そのぶん料金も高くなりがちです。
月額5,000円以上が標準的で、年間契約でも10万円を超えるケースがあります。
交通費や人件費が高いことが影響しています。
逆に、サービスの質が高く、対応も丁寧な傾向があります。
地方都市では価格競争があるため相場が低め
地方都市では、月額2,500円〜4,000円程度のリーズナブルな価格で提供している業者が多数存在します。
業者間の競争が激しい地域では、無料オプションやキャンペーンもあります。
たとえば福岡市や札幌市などでは、割安な業者を探しやすいです。
地元の不動産会社が空き家管理を兼ねている場合もあります。
積雪地域では冬季費用が追加されることがある
北海道や東北地方など、積雪地域では、冬季に除雪作業や屋根の点検が必要になることがあります。
そのため、12月〜3月は月額料金に3,000円〜5,000円程度の追加料金が発生するケースがあります。
雪の重みによる屋根の損傷や水漏れを防ぐため、冬季点検は重要です。
契約前に「冬季対応の有無」をチェックしておきましょう。
沖縄・離島は交通費や人件費の影響で高くなる傾向がある
離島などアクセスが難しい地域では、訪問時の交通費が大きな負担になります。
また、管理スタッフの確保も難しいため、基本料金自体が高めに設定されています。
月額で10,000円を超える場合も珍しくありません。
その分、地域に根ざした小規模業者の利用を検討する価値があります。
空き家管理サービスの費用に関するよくある質問
利用者が疑問に思う点をQ&A形式で解説します。
管理サービスの解約はいつでもできる?
多くの業者では1ヶ月前の連絡で解約可能ですが、途中解約手数料が発生する場合もあります。
契約書の「中途解約」の項目をよく確認しましょう。
途中でプラン変更は可能?
プラン変更が可能な業者もありますが、最低契約期間が定められているケースもあります。
変更を希望する場合は、事前に業者に相談しておきましょう。
1回だけのスポット利用もできる?
多くの業者でスポット対応が可能です。
ただし、割高になるため、定期利用と比較して検討するのが良いでしょう。
賃貸中でも空き家管理サービスは使える?
原則として、賃貸中の物件では空き家管理サービスは不要ですが、入居前後や空室期間に限定して利用することは可能です。
賃貸管理とは別に利用する場合は、貸主との合意が必要です。
まとめ|空き家管理サービスの費用相場を知って賢く選ぼう
空き家管理サービスの費用は、月額3,000円〜10,000円、年間契約で3万円〜12万円が一般的です。
地域や物件の条件、サービス内容によって費用に差が出るため、自分に合ったプランを見つけることが大切です。
また、自治体の補助制度や長期契約の割引を活用すれば、費用を抑えることも可能です。
空き家を安全に、そしてお得に管理するために、この記事を参考にしてサービスを選んでみてください。